あなたは1億円手に入れたらどうしますか?



   1億



少年は、


「え、いきなりそんな事聞かれても……うーん1億かあ……結構大きい数字だよな……それじゃあとりあえず、今欲しいもの全部買う!それでも結構残ると思うから……親に残った半分をあげる。ほら、一応、さ。それであと半分はやっぱりとっとくかな、一気に使うのはもったいないからね」
「自分にはくれないのか」
「うわ!い、いきなり出てくるなよ死神!」
「自分には、くれないのか……」
「にゃあん」
「ああ分かった分かった。死神にもコバにも分けてあげるよ」
「さすが、君は将来大物になるぞ」
「にゃーん」
「まったく……」



友人は、


「1億円?ありえないありえない。宝くじでも当たったのか?本当に1億円をひょっこり手に入れることなんてあるわけないだろ?な?そんなありえない事に夢抱いてる余裕なんて無いんだ俺は。兄弟多いうえに俺長男だしな。だからその質問はパス。答えても意味無いし」
「夢が無いなあ」
「現実的と言ってくれ」
「夢を持たないとマシな大人にはなれないぞ友人」
「てめえに言われたくねえな死神」
「睨み合うなよたかが空想上の1億円で」
「にゃあん」
「たかが空想されど空想。こういうタイプは、いざ大金を手にしたらどうして良いかわからずくだらないことに使ってしまうんだ」
「うるさいほっとけ!」
「あー、でもそれはありそう……」



少女は、


「えー1億?!えっとねえっとね、まずあの方とのデートのお金でしょ!綺麗にならなきゃいけないしー!そして結婚資金!きゃーっ!それから結婚といえば新婚旅行!やっぱり行くとしたら常夏の島、熱々のハワイよねー!で、マイホーム買って!子どもが出来たらお金もっと使うわよね!子どもはー、男の子女の子1人ずつで4人家族よー!それでっ!子どもも1人立ちしたらあとは夫婦の時間っ!2人共通の趣味を持ってー、散歩したり、2人で旅行に行くのー!ああ何て理想の老後なの!枯葉舞う庭を眺めながら縁側に座る2人!『わしらは死ぬまで一緒じゃ』『もちろんですよあなた』っきゃー!私ったらまだ付き合ってもいないのにきゃー!」
「ちょ、ちょっと、話途中で変わってるし、長すぎだよ!」
「あ、マキちゃん!ねえこの未来予想図どお?!」
「え、えーっと……い、良いんじゃない?幸せそうだし」
「でしょー!さっすがマキちゃん分かってるー!」
「あ、あははは……」
「さすが、すごいパワーだなこの娘は」
「にゃーん」



マキちゃんは、


「え、1億かあ……とりあえず全額貯金かな……。将来とか心配だし、国なんて信用できないし」
「マキちゃんったら夢が無いー。もっとパーッと明るい事に使いましょうよ!」
「そうかなー」
「君はパーッと明るく使いすぎだと思うが?」
「にゃあん」
「うるっさいわね死神!こういうのはね、一気に使ったほうがいいのよ!」
「ほう、男らしいな」
「女らしいのよ!」
「それはちょっと違うと思うわ……」



コバは、


「にゃーん」
「いや、聞くなよ……」
「差別はいけないな、コバが猫だからって」
「じゃあ死神は猫語とか分かるのか?」
「いや分からないな」
「それじゃあ何て答えてるか分からないじゃないか」
「こういうのは気持ちが大事なんだ。な、コバ」
「にゃあーん」
「別にいいけどさ」



死神は、


「1億か、確かに金というものはあれば便利だな。しかし、金をたくさん持っているイコール幸せかといえば、必ずしもそうではない。幸せは金の単位では無いからだ。だから、金をたくさん持っている、だから幸せ、かもしれないが、幸せ、だから金をたくさん持っているとはいかないんだ」
「つまり何が言いたいんだよ」
「つまり、目の前にその1億円が差し出されてもだ、その時の気分によって受け取るかもしれないし、そのまま捨ててしまうかもしれないわけだ」
「うわ、それはもったいないな」
「もったいないとは、今君がその金が欲しいと思っているからだ。金なんていらない、という時1億円があっても、邪魔になるだけだろう」
「う……まあ確かに」
「だが」
「?」
「最初に言ったが金はあれば便利なものだ。だから大抵自分は受け取ってしまうだろう」
「何だ、結局貰うんじゃないか」
「人間そんなもんさ」
「まあね」
「にゃあん」
「で、その1億貰ったどうするかっていう質問なんだけど」
「む……。……まあボチボチ」
「分からないってば」



あなたは1億円を手に入れたらどうしますか?

03/1/2




 

 

 



















皆さんは誰派でしょう。