死神に聖なるチョコレートを



「ねえねえ、今日、誰にチョコあげるの?」
「え?ほら、隣のクラスの…」
「ああー分かった!あのバスケ部の人でしょ!」
「そうそう!あんたは?」
「もっちろん、彼にあげるに決まってんでしょー!」
「そっかー!」


アハハと笑いながら過ぎ去っていく女子学生たちを、死神は不思議そうに見送った。
そして、傍らに座っていたコバに話しかける。


「何故今日の娘達は皆あんなにイキイキとした顔なんだ?」
「ニャア」
「何かの記念日か?」


そこで、死神はふと立ち止まる。目の前には、何だか繁盛していそうなお菓子屋さん。


「…そういえば、近頃菓子屋によく娘達が集まっていたな…」
「ニャーン」
「うーむ、謎だ…一体今日は何があるんだ…」


再び歩き出した死神は、しかしすぐに足を止めることになった。
目の前にバッと飛び出してきた1人の人間によって。


○それは、知らない娘だった
○それは、白い可愛い犬を連れた男だった