座談会特別童話 *シンデレラ*
●キャスト
シンデレラ … 少女
継母 … 華蓮
姉@ … シロ
姉A … マキちゃん
魔法使い … 死神
ねずみ@ … あらし
ねずみA … クロ
ねずみB … ウミ
王子様 … 少年
お付きの者 … 友人
昔々、あるところに、シンデレラという美しい娘がいました。
シンデレラは、毎日継母やお姉さん達にいじめられていました。
シンデレラ「そう!私は可哀相なシンデレラ!私が美しいのを嫉妬してお母様やお姉様がいじめてくるの!ああ何てひどいのっ!」
継母「ちょっとシンデレラ、何勝手に悲観にくれてるんですか。掃除をちゃんとして下さい」
姉@「あたしお腹空いたー!ご飯作ってシンデレラー!」
姉A「…だめ!私には出来ない!親友をいじめるだなんて…そんな…!」
シンデレラ「あ、アキちゃん…!(感涙)」
継母「良いんですよお芝居なんですから。こういう機会に恨みとか晴らしといたほうが良いですよ」
姉A「わ、私恨みなんて…」
継母「隠さなくても良いんですよ。ほら、今ならばれませんから」
姉A「…そうですね…お芝居のためですから…心を鬼にして…。…シンデレラ!ほらここ汚れてるじゃない!ちゃんと掃除してよね!」
シンデレラ「アキちゃんが怖い…」
継母「普段の行いが悪いからですよ」
姉@「うーお腹空いたー(服かじりながら)」
そんなある日、お城から舞踏会の招待状が届きました。
とてもカッコいい王子様が結婚相手を探すために開いたものです。
姉@「パーティならご飯いっぱいあるわよねー!行きたーい!」
継母「別に王子になんて興味はないですが、ま、媚売ったり娘と結婚させたりすれば玉の輿ですよね。うっふふふ」
姉A「私…特に行きたいとは思わないんだけど…」
シンデレラ「ちょっとー!王子様ってあの方じゃない!私も行くわよ!」
継母「ダメです。あなたはカボチャの皮でも剥いてなさい」
姉A「ごめんねー」
姉@「ご飯ご飯ー♪」
シンデレラは舞踏会に連れていってもらえませんでした。
シンデレラ「そんな…ひどいわーっ!王子様と結婚ーっ!」
あまりの悲しみにシンデレラが泣いていると、いつもエサをあげているねずみ達が慰めにやってきました。
ねずみA「おいシンデレラ、そんなに泣くなよチュー」
ねずみB「そうだ、そんなに泣いてると体から水分が抜けて干からびてしまうぞチュー」
ねずみ@「…ねえ…これって『チュー』って言わなきゃいけないんだ…?」
ねずみA「何言ってんだチュー!ねずみといえばチュー言うしかねーだろチュー!」
シンデレラ「うわっ、何てウザイねずみ達なの」
ねずみ@「ウザイ言われてるじゃん!」
ねずみA「んだとコラァ!」
ねずみB「シンデレラとねずみが喧嘩するなよチュー」
ねずみA「おお、オレとしたことがついつい熱くなってしまったぜチュー」
ねずみ@「やっぱりチューは必要なのか…チュー…」
シンデレラ「でも私の心を癒してくれるのはあの方だけ…!ああーっ!舞踏会に行きたいーっ!」
魔法使い「それならば自分に任せてくれたまえ」
全員「はっ?」
シンデレラの元に現れたのは、魔法使いでした。
ねずみ@「っていうか死神じゃん、チュー」
魔法使い「失礼な。自分のどこが死神だというんだ。死神だけど」
ねずみB「その手に持ってる鎌とかチュー」
魔法使い「…。…おお、杖と間違えた」
ねずみ達「間違えるなよチュー!」
シンデレラ「ちょっと!それじゃどうやって私をお姫様にしてくれるのよ!」
魔法使い「それは大丈夫。おそらくこの鎌でもちゃんと出来るだろう。たぶん」
ねずみ@「心配だなあ…チュー」
シンデレラ「まあそれならいいわ。ちょちょいのちょいと魔法使ってちょうだい」
魔法使い「よし、分かった(カンペ取り出し)…まずはカボチャか」
シンデレラ「馬車ね!ねずみ達、カボチャ持ってきて!」
ねずみ達「イエッチュー」
ねずみ達はカボチャを魔法使いの元へと運びました。
魔法使い「よし、それじゃあ行くぞ」
シンデレラ「あーっ、どきどきしてきたわ!」
魔法使い「とうっ」
バキン。カボチャは魔法使いの振り下ろした鎌によって真っ二つに割れてしまいました。
魔法使い「…おお、またもや間違えた」
ねずみ達「何を間違えたんだよチュー!」
シンデレラ「私のカボチャの馬車がーっ!」
魔法使い「魔法は難しいな」
ねずみA「魔法なんてまだちっとも使ってねーだろチュー!」
シンデレラ「カボチャ無くてどうやって馬車を出すつもりよ!」
魔法使い「困ったな。何か代わりのものがあれば良いんだが」
ねずみB「あ、それなら俺持ってるぞチュー」
シンデレラ「えっ?!」
ねずみは、何だかヒビの入ったタルを持ってきました。
ねずみB「これで良かったら使ってくれチュー」
シンデレラ「えー?!こんなボロいタルを?!」
ねずみ@「でも早くしないと舞踏会始まっちゃうよ…チュー」
シンデレラ「うーっ…しょうがないわねー…じゃあタルでいいわよもう」
魔法使い「じゃあさっそく…」
ねずみA「もうぶっ壊すなよチュー」
魔法使い「分かってる。いくぞ…(カンペ見る)えーっと…ビビデバビデブー」
魔法使いが呪文を唱えると、タルはあっという間に馬車に変わっていました。
シンデレラ「きゃーっ!タルで出来てるけどすごーい!」
ねずみ@「あ、ここにひび割れがある、チュー」
ねずみA「原型がタルじゃ仕方ねーだろチュー」
魔法使い「さて、次は(カンペ見る)君の服か」
シンデレラ「とうとうこの時が来たわっ!ちゃんと可愛いドレスにしなさいよ死神!」
魔法使い「だから、自分は魔法使いだって言ってるだろうに」
シンデレラ「見えないのよ!魔法使いには!」
ねずみ@「見える事は見えるけど…とりあえず死神って感じだよね、チュー」
シンデレラ「そんな事どうでもいいから早く早く!」
魔法使い「よーし、いくぞ、ビビデバビデブー」
魔法使いが呪文を唱えると、シンデレラの服があっという間に黒い服に。
シンデレラ「何で黒い服なのよ!真っ黒じゃない!」
ねずみB「むしろドレスでもないなチュー」
魔法使い「ああドレスだったな。ドレス。ビビデバビデブー」
魔法使いが再度呪文を唱えると、シンデレラの服があっというまに黒いドレスに。
シンデレラ「だから、何で黒なのよ!」
ねずみA「何でだよ、黒色良いじゃねーかチュー」
シンデレラ「すごい地味じゃない!私は赤とか白とかピンクとかが好きなの!」
魔法使い「自分は黒が好きだ」
シンデレラ「あんたの好みはどうでもいいでしょ!今は私のドレスでしょうがっ!」
ねずみ@「あーでも…黒も大人の雰囲気が出てて良いかもよ、チュー」
シンデレラ「え、そう?」
ねずみB「ああ、なかなか似合ってるぞチュー」
シンデレラ「そーう?じゃあこれで良いかなー♪」
ねずみ達(女って単純だな…)
シンデレラ「あ、そういえばシンデレラに欠かせないガラスの靴は?」
魔法使い「おお忘れるところだったな。ビビデバビデブー」
魔法使いが呪文を唱えると、シンデレラの足元にガラスで出来たスニーカーが。
シンデレラ「靴違うわよ!」
魔法使い「靴じゃないか」
シンデレラ「スニーカーじゃなくて私が言ってるのはハイヒール!OLとかがよく履いてるやつよ!」
魔法使い「ほほう。しかし自分は見たことが無いからどんなものか分からないぞ」
シンデレラ「えっ?!」
ねずみA「知らねーんじゃ出せねーよなあチュー」
ねずみB「我慢するしかないなチュー」
シンデレラ「そんなー!ドレスにスニーカーってどうなのよー!」
魔法使い「じゃあ黒い服に戻して釣り合せるか?」
シンデレラ「…このままでいいわよ…」
魔法使い「よしよし。さて、最後は…(カンペ見る)馬2頭と従者1人か」
シンデレラ「あ、ねずみ達を変えるのね」
ねずみ達「えっ?!」
魔法使い「さーてどいつを馬にしてやろうか、ふふふ」
ねずみA「お、おい、お前ら馬やれよ、オレが従者になるからチュー」
ねずみ@「いや、ほら、2人とも力強いじゃないか、僕が従者をやるよ、チュー」
ねずみB「待て待て、俺は陸の上を走るのは苦手だから、お前らが馬をやってくれチュー」
ねずみA「今はねずみだろーがチュー!」
ねずみB「本質は変わらないだろチュー!」
ねずみ@「何だかチューチューうるさいなあ…チュー」
シンデレラ「あ、別に従者いらないから3匹とも馬にしてもいいわよ」
ねずみ達「?!」
シンデレラ「その方が早くお城につけそうな気がするもの♪」
ねずみ達「そんなチュー!」
魔法使い「そうしよう。ビビデバビデブー」
魔法使いが呪文を唱えると、三匹のねずみはあっという間に三頭の馬になりました。
馬@「うわー馬になっちゃったー!」
馬A「ちくしょーまだねずみの方が良かったぜーヒヒーン!」
馬B「随分と体のサイズが変わってしまったなヒヒーン」
馬@「…馬はヒヒーンなんだ…ヒヒーン」
シンデレラ「じゃあさっそくこのウザイ馬連れてお城に行くわよー!」
馬A「ウザイ言うんじゃねーヒヒーン!」
馬@「いやーウザイと思うよ僕も、ヒヒーン」
魔法使い「ああ、ちょっと待ってくれ」
シンデレラがお城に出発しようとすると、魔法使いに呼び止められました。
シンデレラ「何?死神」
魔法使い「いやだから今は死神ではなくて…まあいい。絶対に12時までには帰って来るんだぞ」
シンデレラ「えー何で?!それじゃあ王子様と一夜を明かせないじゃない!」
馬B「一体王子と何する気なんだヒヒーン」
魔法使い「寝不足は肌の天敵だからだ。12時でも遅いぐらいだ。10時がちょうど良い」
シンデレラ「お肌の?!そうね…それは大変だわ…!嫁入り前なのに!」
馬@「魔法が解けるとかそういう理由じゃないんだ?!ヒヒーン」
魔法使い「自分がかけた魔法だぞ、そんなに簡単に解けるわけがない!」
馬A「そんなもんなのかヒヒーン」
シンデレラ「分かったわ、12時に帰ってちゃんと寝るわ!それじゃ、出発ー!」
馬達「ヒヒーン」
シンデレラは魔法使いが見送る中、タルの馬車でお城まで急いだのでした。
一方、舞踏会に出ている王子様は浮かない顔をしていました。
舞踏会に集まった娘達の中に、王子様の好みの女性がいなかったからです。
王子「いや…っていうか別に結婚とかしたくないんだけど」
お付きの者「何言ってるんだ王子。これはシンデレラという話上仕方が無い事なんだから我慢しろ」
王子「おまけにお付きの者が何だか態度でかいし…」
お付きの者「さあ早く結婚相手を決めろよ。まあどっちみちシンデレラに決まるんだけどな」
王子「お付きの者がまったく物語の中の役になりきってないし…」
お付きの者「大体魔法使いの部分が長いんだよ、何であんなに話が延びるんだ!」
王子「…早く帰りたい…」
しかしそんな王子様の気持ちを知る由もない娘達は、王子様にメロメロでした。
姉@「この料理美味しそー…!あっこっちのも美味しそうー!」
継母「王子様といっても所詮はケツの青い子どもですよね」
姉A「えーあの王子様って…だめよ、そんな、親友の恋する相手を取るだなんてそんな…!」
そんな時、1つの馬車が遅れて舞踏会に到着しました。
馬車から出てきた美しい娘シンデレラに、その場にいた全員が目を奪われました。
シンデレラ「うふふ…!主役の登場よっ!ああっ目立つ事は恥ずかしいわ!」
お付きの者「ほら王子、あそこの心にも思ってない事言ってる奴はどうだ?」
王子「え…でもあの子すごい泣いてた人じゃん…」
お付きの者「そんなの過去の事だろう。話進まないんだからほら」
王子「ううー…」
王子様はひと目でシンデレラを気に入って、すぐさまシンデレラに近づこうとしました。
しかし、
シンデレラ「王子様ーっ!私と踊ってくださーい!」
王子「え、え?え?」
積極的なシンデレラは渋っている王子様より早くやってきて王子様を引っ張っていきました。
お付きの者「近頃の娘は積極的だなあ…」
シンデレラ「ああ王子様と一緒にいられて幸せー!」
王子「…晩御飯何かな…」
楽しい時間はあっという間に過ぎていきました。そう、とうとう12時になってしまったのです。
ボーンボーンと響く時計の音に、シンデレラはハッと気がつきました。
シンデレラ「そうだわ!お肌!」
王子「え?」
シンデレラ「12時に帰らなきゃお肌ガサガサになっちゃう!」
王子「それじゃあもう帰るの?(グッ)」
シンデレラ「そう、私はもう帰らなければならないのです!王子様が何故ガッツポーズしているのか分かりませんが、今日はこれでさようなら…!」
王子「あっ待ってシンデレラー(棒読み)」
シンデレラは急ぐあまり、ガラスのスニーカーを…。
シンデレラ「あっ!スニーカーだから足にジャストフィットしてなかなか抜けないわ!」
王子「もう脱いじゃえば?」
シンデレラ「そっか。そうすれば良いわね!(スニーカーを脱ぐ)あっガラスの靴がー(棒読み)」
シンデレラは急ぐあまり、ガラスのスニーカーを脱ぎ捨ててしまいました。
走り去るシンデレラの背中を見送りながら、王子様はガラスのスニーカーを拾い上げます。
王子「…前から疑問に思ってたんだけど…何でスニーカーなんだろう…」
お付きの者「さあなぁ…」
王子「…やっぱり探さなきゃいけないのかな…」
お付きの者「当たり前だろ!ほら面倒臭がってないで行くぞ!」
王子「はーい…」
翌日、帰ってきてからすぐさまぐっすり眠ったシンデレラは、王子様がガラスのスニーカーの持ち主を探している事を知りました。
お付きの者「このガラスのスニーカーに綺麗に足がはまった者がこのスニーカーの持ち主だとよ!さあ集まれ!」
王子「顔知ってるのに何でこんな探さなきゃならないんだろう…」
お付きの者「ほら王子座り込むな!立て!」
王子「ううっ…」
シンデレラは、王子様が自分の家に向かっている事を聞いて心が躍りました。
シンデレラ「きゃーっ!王子様が私を探してこっちに来てくれてるなんてーっ!」
継母「うるさいですよシンデレラ。朝からハイテンションは止めて下さい」
シンデレラ「うふふっ、もうこれでいじめられる事なんてないのよ!もう私は従わないんだから!」
姉A「相変わらず気が早いんだから…」
姉@「朝ごはんまだー?」
そしてとうとう、シンデレラの家にも王子様とお付きの者がやってきました。
お付きの者「さあ、さっさと履いて撃沈してくれ」
姉A「撃沈決定?!」
継母「大体ガラスで出来たスニーカーなんて履きたくありませんよ」
姉@「固そうねー」
王子「早く帰りたいから早く済ませてね」
継母「…すでに王子までやる気がないですね」
継母やお姉さん達はガラスの靴を履こうとしますが、だれもピッタリはまる人はいませんでした。
お付きの者「よし撃沈完了」
王子「ああ、あの夜の娘は一体どこへ行ってしまったんだ(棒読み)」
シンデレラ「ちょっと待って!私にもそれを履かせて下さい!」
シンデレラです。シンデレラがガラスのスニーカーの前に進み出てきました。
お付きの者「それじゃ履いてみるがいい」
シンデレラ「はい!」
シンデレラがゆっくりとスニーカーに足を入れると…何と、ピッタリとはまったではありませんか。
継母「ああ、まさかシンデレラがはまるなんて(棒読み)」
姉@「信じられないわー(棒読み)」
姉A「シンデレラのクセに悔しいわキーッ(棒読み)」
シンデレラ「これでやっと結ばれるのねっ!王子様ーっ!!」
王子「シンデレラー(棒読み)」
こうして、シンデレラは王子様と結ばれ、末永く幸せに暮らしたそうな。
魔法使い「最後はずいぶんとやる気のない演技だったな」
シンデレラ「そうよ!皆真面目にやってよね!あ、でも王子様はかっこよかったわ♪」
王子「あーうんありがとー(棒読み)」
継母「大体なんで私が継母役なんですか?普通シンデレラでしょう?」
馬B「シンデレラが恐怖キャラになるからだろ…」
馬@「最終的に馬で落ち着くんだ…」
姉A「でも意外と楽しかったかも…スッキリしたし…」
姉@「あたしお腹空いたわー!演技って大変ねー!」
馬A「っしゃー!終わったし帰ろうぜー!お疲れー!」
―めでたしめでたし―