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日記連載 ~頑張れ名探偵タッちゃん!~



第1話『事件の始まり』

名探偵タッちゃんは暇なので1人で神経衰弱をしていました。
すると、助手の田中が慌てた様子で駆けてきます。

「大変だータッちゃん!」
「どうしたんだ田中!神経衰弱は難しいぞ!」
「1人でしてろボケ!じゃなくて大変なんだよー!」
「もしかして……俺のファンが押し寄せてきたのか?!」
「寝言は寝て言え!実は事件が起こったんだ!」
「何っ!事件だと!名探偵タッちゃんの出番か!」

一体どんな事件が起こったのでしょうか!

~つづく~



第2話『銀行殺人事件』

名探偵タッちゃんは助手の田中に連れられて銀行にやってきました。

「田中!まさか金を借りるのか?」
「てめえほど金に困ってねえよ!ここで事件があったんだよ!」
「ほほう、その事件とは?」
「殺人事件だってさ!」
「何っ!殺人事件だと!」

これは大変な事件です。
タッちゃんは目をキラリと光らせました。

「よし、俺が必ず真犯人を暴いてやる!」
「いや、もう真犯人は分かってるみたいだよ」
「マジで?!」

タッちゃんの見せ場がなくなっちゃいました。
果たして、真犯人とは一体誰なのでしょうか!

~つづく~



第3話『沈黙の死体』

名探偵タッちゃんの目の前に、血まみれの死体が現れました。
これが今回の犠牲者のようです。

「これが被害者か田中。滅多刺しで見る影も無いな……」
「お前の顔もな。被害者はここの銀行員らしいです」
「これじゃ男か女かも分からないな」
「男だよ良く見れボケが。それで、犯人なんですが」
「ああ、分かってるんだったな。誰だったんだ?」
「それが」

「キャーっ!」

そこで銀行にいきなり悲鳴が響き渡りました。
何と、真犯人が暴れだしたというのです!

「やばい、ピンチだ田中!」
「助手に言うなくされ探偵!」

名探偵タッちゃんの運命やいかに!

~つづく~



第4話『真犯人の正体』

銀行内に響き渡る悲鳴。これは女性の声です。
何と、真犯人の女性が暴れまわる悲鳴だったのです。

「田中!これはどういう事だ!」
「自分の頭でちったあ考えろや迷探偵!」
「真犯人が女性だったなんて!」
「男女差別で訴えられるぞ!あれは、被害者の奥さんだよ!」
「何っ!被害者の!」

大変です、真犯人は被害者の奥さんだったのです。
奥さんは手に包丁を持って奇声を発しています。

「キエエェェェェェェ!」
「うわーまるで祈祷師のババアみたいだぞ田中ー!」
「微妙なネタだすなや!こっちに来るよタッちゃんー!」

震え上がる名探偵タッちゃんと助手田中!
このまま刺されてしまうのでしょうか!

~つづく~



第5話『タッちゃんの涙』

真犯人、奥さんは包丁を振りかざします。
助手の田中に盾にされている名探偵タッちゃん。
2人が今、見つめあいます……!

「……アメリア……!」
「……タロウ……!」
「ええっ!」

いきなりお互いの名前を呼び合いだしたタッちゃんと奥さんに、田中はビックリして叫びました。

「タッちゃんそんな地味な名前だったの?!」

違います田中、つっこみが違います。
するとタッちゃんが、ぽろりと涙を流しながら答えました。

「この名前は、お父さんが『普通でいいから、丈夫で優しい子に育つように』とつけてくれたんだ……」

違いますタッちゃん、答える所が違います。
果たして、奥さんとタッちゃんの関係とは一体!

~つづく~



第6話『タッちゃんの推理』

「アメリア……何故こんな事を……」

タッちゃんが悲痛な面持ちで尋ねると、奥さんは泣き始めました。

「この人が、この人が悪いのよ……!」

そう言うと奥さんは泣き崩れてしまいました。
その隙に、タッちゃんと田中は緊急会議です。

「旦那さんが浮気でもしたのかなタッちゃん」
「浮気相手は俺だ、とか言い出したらどうする田中」
「ははっそんな、しゃれにもならん事を」
「いや出来ればしゃれで済ませて欲しいな」
「知り合いなんでしょう、聞いてみてよタッちゃん」
「いや、話しかけたら勢いで滅多刺しにされそうで」
「怨み買ってんのかよ!」

タッちゃんと田中が色々揉めていれば、
奥さんが立ち直って話し始めました。

「そう、あの人が、あんな事をしなければ……」

真実の真相とは!

~つづく~



第7話『奥さんの理由』

それは、被害者と奥さんが朝食をとっている時でした。

「……おいアメリア」
「何?あなた」
「この味噌汁、もしかして赤味噌か?」
「ええそうよ、赤味噌、好きなの」

そう言って奥さんは笑いましたが、被害者は違いました。
憤怒の形相でちゃぶ台をガシャンとひっくり返したのです。

「俺は白味噌の味噌汁しか飲まねえー!」
「キャア!」
「今度から白味噌を作っておけメス豚!」

被害者はそう言い捨てて銀行へ仕事に行ってしまいました。
奥さんは台所の隅で、泣きながら復讐を誓ったのです。

「よくも赤味噌を馬鹿にしたわね…!許さない…!」

こうして、今回の犯行に及んだわけです。
それを知ったタッちゃんの行動とは!

~つづく~



第8話『反省』

「分かった、全てが分かったよ」

奥さんの話を聞いて、タッちゃんはそうやって言いました。

「何が分かったのタッちゃん!」
「アメリアの気持ちが分かったんだ…」
「タロウ……」
「俺も、赤味噌が好物なんだ!」
「はいはい」
「助手が冷たい!」

タッちゃんは部屋の隅でぐすんぐすんと泣き始めました。
その間に、助手の田中が奥さんに言います。

「いくら恨みがあっても、殺しはいけないよ」
「はい……」
「十分に、反省しなさい」
「はい……反省します……」

見せ場が取られそうですよタッちゃん。
果たして、タッちゃんの見せ場はあるのでしょうか。

~つづく~



第9話『解決』

「って誰が反省するかキシャーッ!」
「ぎゃあっ!」

奥さんは反省したと見せかけて田中に襲い掛かりました。
田中は奥さんのラリアットを喰らって倒れてしまいます。

「味噌汁の恨みは海より深いんじゃボケが!」
「まてアメリア!これ以上罪を重ねるんじゃない!」
「止めないでタロウ!もう引き返せないの!」

刃物を手に奥さんは迫ってきます。危ないタッちゃん!

「止めろーアメリアー!」
「ぐはっ!」

タッちゃんは愛用のマシンガンをぶっ放しました。
奥さんは刃物を手放して吹っ飛んでいきます。
タッちゃんは、悲しそうな瞳で言いました。

「これで終わりだ、アメリア……」

~つづく~



最終話『タッちゃんと田中』

かくして、蜂の巣になった奥さんは逮捕されました。
また暇になったタッちゃんは、今日も神経衰弱です。

「田中、相手をしてくれ」
「はっ(鼻笑い)誰がてめえみたいな男とやるか」
「ううっ今日も助手は冷たい……」
「……タッちゃん、結局奥さんとはどんな関係だったの?」

助手の田中がそう聞くと、タッちゃんは思い出に耽りました。

「アメリアとは、学校が同じだったんだ」
「それだけか」
「それだけだ」
「ふーん」
「なあ田中、1人じゃ全然集まんないんだ手伝ってくれ」
「どれだけ脳みそスポンジなんだよ。やれやれ……」
「田中ぁー」

今日も名探偵タッちゃんは事件を待っています。

~終わり~